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2026.02.27PICK UP

ユトリロ 「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」

ユトリロ 「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」

こちらの欄では、今後も当ギャラリーの視点から、作品解説や作家にまつわるエピソード、美術市場に関する話題などを継続してご紹介してまいります。

モーリス・ユトリロ ムーラン・ド・ラ・ギャレット 1950年 石墨、色鉛筆・紙

ユトリロが生涯繰り返した代表的なテーマ「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」。

パリのモンマルトルにあった大衆的なダンスホールです。この場所は、労働者階級が集まる社交場として栄え、印象派の画家たちもよく描いています。

ユトリロはモンマルトルで生まれ育ち、この地で芸術家として活躍し、貧困・友情・酒が混ざった青春時代を送りました。

興味深いのは、この絵が彼の晩年1950年に、パリ西郊外の住宅地ル・ヴェジネで描かれたことです。健康悪化により外出がままならなくなっていたユトリロが、ル・ヴェジネにいながら、若い頃のモンマルトルを思い出して描いているように思われます。

作品上部には、美味しいカルヴァドス酒を飲んだ思い出に、と友人へのため書きが見られます。晩年のユトリロが、自身が愛したモンマルトルを心の中から呼び戻し、友人との楽しい酒の記憶に添えて贈った一枚です。